グッドデザイン賞

グッドデザイン賞

日本で唯一のデザイン評価制度のグッドデザイン賞。私達の生活の質の向上も図られていて良いデザインの象徴として、多くの製品が受賞されてきました。グッドデザイン賞について詳しく知らない人も多いと思います。そこでグッドデザイン賞の説明や歴史、審査についてなど詳しく紹介していきます。

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グッドデザイン賞とは

グッドデザイン賞は、(財)日本産業デザイン振興会が運営している、優れたデザインのモノや事柄について与えられる賞です。1957年から始まり、商品だけではなくビジネスモデルやイベントなど多岐にわたって賞が与えられている。作品は毎年700〜1300件が授賞され、現在までに30000件以上の作品が授賞されました。

グッドデザイン賞は美しさだけのデザインコンペとは違い、私達の社会全体の豊かさにしてくれるものや社会に貢献するような評価を得ないと授賞できません。たくさんのメーカーが参加し、暮らしやすい社会になるための運動と言えるでしょう。


グッドデザイン賞の歴史

1957年に通産業省が主催の「グッドデザイン商品選定制度」(Gマーク制度)が、外国商品の模倣防止や独創的なデザインの製品を奨励するために誕生しました。最初はデザインに力を入れている企業が少なく、審査員自らが探し回り優れたデザインの製品を探し集めていました。1963年に公募形式へと移り変わり、輸出を盛んにしようとデザインに力を入れることで、しっかりとした物を作ろうという意識に変わってきました。

1980年には、Gマークに選ばれた商品の中から、「グッドデザイン大賞」「部門賞」「ロングライフデザイン賞」などの特別賞が作られました。1984年には一部の工業製品のみ対象だったのが、すべての工業製品へと拡大されました。それ以降も医療や教育、公共分野などの対象の幅を広げていきました。

1990年代に入り、「インタラクションデザイン(使用者との対話があるデザイン)」「ユニバーサルデザイン(使用時に差別のないデザイン)」「エコロジーデザイン(地球環境を考慮したサステナブルデザイン)」を新しい目標として方針を示しました。

1998年、Gマークは民営化されて日本産業デザイン振興会が主催の「グッドデザイン賞」と名前を変えて新しくなりました。2001年からはグッドデザイン プレゼンテーションがスタートしました。これにより二次審査会場を一般公開されました。


グッドデザイン賞の審査対象

グッドデザイン賞の審査対象は主に4つに分類されます。

1.商品デザイン部門

テレビや冷蔵庫などの家庭電気製品のデザインやパソコンや携帯電話などIT関連機器のデザイン、自動車などから医療や教育などの公共の場で使われるものなど工業製品全般を対象にします。例えばデジタルオーディオプレーヤーのiPod shuffleは2005年に特別賞を与えられています。

2.建築・環境デザイン部門

工場やホテルなどの施設や駅の建物や公園、病院や美術館などの施設も対象です。簡単に説明すると建物全般を対象としています。長崎水辺の森公園、埼玉県立大学などが特別賞を頂いています。

3.コミュニケーションデザイン部門

主にイベントや事業など企業や自治体が行うコミュニケーション活動やパブリックリレーション活動のデザインを対象としています。ecotonohaという日本電気株式会社が作ったホームページなどが特別賞を頂いています。

4.新領域デザイン部門

地球環境や高齢化社会などの問題、地域文化の形成の課題への取り組みなど、商品や施設づくりを通した取り組みを対象としています。愛知万博で出展されたアイフットと呼ばれる2速歩行ロボットなどが特別賞を頂いています。


グッドデザイン賞の審査基準

グッドデザイン賞の審査基準は、「良いデザインであるか」「優れたデザインであるか」「未来を招くデザインであるか」の大きく3つに分かれています。一定以上の良いデザインと判断され、優れたデザインで未来を招くデザインの項目で明らかに優れていものに賞が与えられます。もう少し各項目を詳しく見ていきます。

1. 良いデザインであるか

この項目は基本的な要素として、美しさ、独創的、使いやすさや親切さ、使用環境への配慮、価値に見合う価格、誠実、機能・性能が優れている、安全への配慮がある、生活者のニーズに応えている、魅力がある、という要素がある程度評価されることが必要になります。

2. 優れたデザインであるか

特に優れている点を明らかにするために、デザインコンセプトやプロセスなどのデザイン面、ユニバーサルデザインの実践や多機能・高機能をわかりやすく伝えるなどの生活面、高い技能を活用することや新しいものづくりを提案するなどの産業面、長く使えるデザインやエコロジーデザインの実践などの社会面などの優れている点をハッキリと示されているものを審査します。

3. 未来を拓くデザインであるか

未来のために積極的な取り組みをしているかを評価します。次世代のグローバルスタンダードを引き起こすようなデザイン面、次世代のライフスタイルを初めて作り出そうとする生活面、技術の人間化を導くような産業面、社会・文化的な価値を引き起こそうとする社会面などの取り組みを審査します。


グッドデザイン賞に選ばれるプロセス

グッドデザイン賞は1年に1回開催されます。簡単に応募してからグッドデザイン賞の発表までのプロセスを紹介します。

応募

応募は毎年4月初旬に公開し、6月上旬に締め切ります。グッドデザイン賞のウェブページに募集要項が公開されるので、ウェブサイトや紙による応募をします。

一次審査

一次審査は審査委員会が審査をします。商品として成立していない、完成度の低いデザインを落とすという審査です。この時の審査対象は応募するときに提出したデータになっています。

二次審査

8月末に東京のビッグサイトにて二次審査が行われます。審査は優れたデザインを見つけようという目的で、展示された応募作品に対して検討していきます。討論を繰り返して、審査委員の合意が得られたものがグッドデザイン賞に決定されます。

特別賞審査

9月にグッドデザイン賞に選ばれた作品から「金賞」「エコロジーデザイン、ユニバーサルデザイン、インタラクションデザイン」などの特別賞を選びます。審査委員長や副委員長、各審査部門、ユニットのリーダーが審査します。討論を繰り返し、より優れた特別賞を決定します。その後にグッドデザイン大賞の候補を数点決めます。

表彰式・グッドデザイン大賞の決定

10月下旬に、グッドデザイン大賞の決定と表彰式があります。グッドデザイン大賞は全ての審査員とグッドデザイン受賞者の投票によって行われます。